皆さん、コーヒーはお好きですか。朝や家に帰ってからほっとするひと時に飲むコーヒーを楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。キリマンジャロ、モカ、コロンビア……南米を中心にさまざまな国で栽培されているコーヒーですが、何といっても香りが最高で、ついついたくさん飲んでしまうことも。また、コーヒーには心臓病や脳卒中、呼吸器疾患による死亡リスクを下げるという健康にうれしい効果もあるようです。一方で、多くのコーヒー農園では、大量の農薬が使われていることを意識したことはありますか? 今回はブラジルの農園で作られた無農薬コーヒーを販売する「有限会社ハレルヤ」の杉浦昭夫さんを紹介します。
実は杉浦さんは、その素敵な笑顔からは想像できないほど、苦難の多い人生を送られてきました。昭和21年、福岡県大牟田市に生まれた杉浦さんは、5歳の時にお母様が30歳の若さで亡くなっています。その後、お父様の実家のある鈴鹿市に住まいを移しますが、日雇い労働者であったお父様が大酒飲みで、賭け事が好きだったことなどを理由に、まもなく杉浦さん兄弟は軽井沢の「天の家」というクリスチャンの孤児院に預けられました。さらに軽井沢から多治見の孤児院に移りますが、孤児院の閉鎖を機に、四日市へ戻ることになりました。天の家と多治見での高校2年の夏まで全日制高校に通われたのち、昼は仕事をし、夜は定時制の高校に通う生活を続け、大学も夜間に通える三重短大を選ばれています。そんな中、杉浦さんは軽井沢の孤児院で過ごした頃にクリスチャンとしての道を歩ませてもらえたことが一番幸せだったと振り返ります。自分の境遇を決して恨んだことはなく、したがってぐれたりすることもなかったそうです。孤児院で過ごされた杉浦さんたちの写真からは、それぞれがお互い愛を持って認め合い、共に遊び、学び、生活していた様子が伝わってきました。
有限会社ハレルヤを始められたきっかけは、ブラジルで自然農法の普及に取り組んでいたクリスチャンの宮坂四郎さんとの出会いだったそうです。自身も毎日5杯のコーヒーを飲むほどコーヒーが大好きだった杉浦さんは当時、全自動自家焙煎コーヒーを販売するために、コーヒーに関連するさまざまな本を読んで学んだり、各国産の生豆をブレンドして喫茶店オーナーに試飲してもらっては感想を聞いたり・・・と、毎日、美味しいコーヒーを追い求めていました。そんな中、宮坂さんから紹介された有機コーヒーのパイオニア・徳力啓三さんに勧められたジェレジン農園のコーヒーを試飲したところ、それまで様々なブレンドを試みてきたのが何だったのかと思うほど、その単一農園(シングルエステート)のコーヒーは美味しかったそうです。“ジェレジン”とは聖書の申命記11:29にある「祝福の山」として記されている言葉で、杉浦さんは農園主のイバンさんが創造主である神への信仰をもって真摯に有機栽培に取り組んでおられると感じ、すぐに生豆を15トン輸入する決断をします。振り返ると、コーヒー業界の知識があったらいきなり15トンも輸入することはなかったと言いますが、そのときは、例え人に笑われても、この生命力溢れるコーヒーを日本全国に広めようと決心されたそうです。その後、徳力さんを通じてパライーゾ農園主の鈴木功さんが手がけるコーヒーも輸入するようになり、現在に至ります。
ジェレジン農園のイバンさんとパライーゾ農園の鈴木功さんが農薬を使わずに栽培するコーヒーの最大の特徴は、人と自然にとても優しいこと。農薬には害虫や雑草を殺す役割がありますが、その過程でコーヒーや農作物の育成に必要な微生物までも殺してしまいます。さらに、害虫は農薬に対して免疫力を持つようになるため、より強い農薬を使う……という悪循環に陥ってしまうのです。それは、自然だけでなく、農園で働く人にとっても悪影響を及ぼし、まるで“死の世界”だと杉浦さんは言います。また、近年開発された遺伝子組み換えコーヒーは農薬に強いのですが、ますます土壌の質を悪化させます。さらにその種は一代限りで収穫できず、農園主は種を販売する企業に依存することになるといいます。
無農薬栽培を行っている農園では、当然ながら農薬を使わないため、害虫が戻ってきますが、益虫も戻ってきます。ジェレジン農園では、無農薬栽培を始めた頃は農園全体が枯れて真っ黄色になるほど被害が出たそうですが、じきに害虫に対抗する天敵も農園に戻り、生産量は回復しました。こうして、飲む人にも働く人にも、そして自然にも優しいコーヒー作りが出来るようになったそうです。杉浦さんは創世記の時代の、堕落する前のパライーゾ(天国)を取り戻したいと語ります。
今回、杉浦さんの販売するコーヒーの中でも、パライーゾ農園・鈴木功さんの作った有機JASコーヒー「極みコーヒー」を頂きました。とても香ばしく、まろやかでコクがあり、後味にはほのかな甘みもある、とてもおいしいコーヒーでした。生命力があり、そして、優しい味がしました。
普段、安価で気軽に飲めるコーヒーですが、いったん立ち止まって、これまで犠牲にしてきたものについて考え、神さまの作った素晴らしい世界に思いをはせたひと時でした。
TEL 0120-660-661 FAX 0120-663-886
ブラジル直輸入コーヒー (有)ハレルヤ 受付時間 9:00-19:00 [ 日・祝日除く ]
Photo by Tina Guina on Unsplash
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