さりげなく暮らしに寄り添う“みことば”のギフトを。「カピバラshop」運営/打楽器奏者・山本ももさん

 

――どんな活動をされていますか?

夫と2人でハンドメイド雑貨ショップ「カピバラshop」を運営しています。
また、この他に打楽器奏者としても活動しています。

――多彩ですね! まずは音楽活動についてお話を聞かせてください。打楽器はいつ頃から始めたんですか?

中学校で吹奏楽部に入部したのがはじまりです。ありがたいことに、3年生のときにコンクールで上位入賞したのをきっかけに、本格的に先生に習いはじめ、音楽科のある高校に進学し、その後は京都市立芸術大学に進みました。

――音楽とキリスト教は密接なイメージがありますが、吹奏楽部時代からクリスチャンだったのでしょうか?

いいえ、聖書を読みはじめたのは大人になってからです。
実は、日本で最もクリスチャン人口が少ないと言われている福井県の出身なんです。
福井は昔から浄土真宗の信仰が盛んで、私が育ったのは田舎だったこともあってキリスト教に対する正しい知識を得る機会もなく、むしろずっと抵抗感がありました。

それが薄れたのは、大学で出会った打楽器の先生が、牧師でもあったことがきっかけでした。
授業を通して教会音楽に触れたり、先生を通してクリスチャンとしての在り方に触れたりする中で、自分がキリスト教に対して張っていたガードが少しずつ緩んでいったんですね。

さらに、クリスチャンである今の夫を好きになったことで「彼のことを知るなら、キリスト教を知らなければ!」と、マンガで読むキリスト教のような、わかりやすい本から読みはじめて。
でも、このときはまだ、宗教に対する反発心の方が大きかったですね。
やがて彼とお付き合いするようになり、半分嫌がりながらではありましたが、彼に連れられて教会へ行くようになりました。

――私も大人になってから聖書を読み始めたので、その抵抗感はよくわかります。
教会へ通うようになって、気持ちに変化はありましたか?

教会も、そこで出会った方もとても素敵だとは思ったのですが、幼い頃から自分の中にある偏見や抵抗感がどうしても消えなくて・・・。
何度も通っても変わらないので、やっぱり自分には受け入れられないのかもしれない、彼とのお付き合いを進めるのもやめた方がいいのかなと悩んでいたとき、ある礼拝で神様が直接私に、「あなたはここにいていいんだよ」と語りかけてくださったような感覚がありました。
「ここにいなさい」ではなくて「ここにいていい」。そうか、神様は私の選択肢もないがしろにはされないんだ、と感じました。
「あなたはここにいなさい」というメッセージだったら、抵抗感はさらに強くなっていたかもしれません(笑)。これが、神様と初めて出会った瞬間でした。

――洗礼を受けたことで、ご家族やお友達の反応はいかがでしたか?

口には出さないけれど、当初の私のように、抵抗感がある人は多いのではと思います。
両親は幼い頃から「ももが好きなことをやっていいよ」という方針で育ててくれたので、否定されることはありませんでしたが、それまでは家族みんなで行っていた初詣に参加しなくなったり、寂しさはあったかもしれません。
いまも、私が神様を大切にしていることについて少しずつ伝えているところです。

――ももさんがそうだったように、違う価値観を受け入れるのは、きっと簡単ではないですよね。
では、「カピバラshop」を始めたきっかけは?

その後、結婚が決まり、式を挙げることになったのですが、クリスチャンホームで育った彼と違って、私の親族やゲストはほとんどノンクリスチャンだったんですね。
そんなときに何か、みことば(聖書の言葉)をさりげなく持ち帰っていただけるプチギフトをと、「ボタニカルワックスサシェ」を作ったことがきっかけになりました。
ボタニカルワックスサシェはアロマオイルやドライフラワーなどで作る、火を灯さずに香りが楽しめるインテリアです。ここに英語でみことばを入れることで、キリスト教になじみがない方にもデザインとして受け入れてもらえるのでは、と考えました。
サシェをお配りした皆さんから好評をいただいたことで、これも私たちが神様のためにできる働きの1つかもしれないと、夫と2人で「カピバラshop」をはじめました。

――カピバラshopのホームページには「みことばを贈る・飾る・身につける」と3つのコンセプトをもとにものづくりをされていると書かれていますが、大切にされていることはありますか?

ノンクリスチャンの方にも気軽に使っていただけるものであることです。
「みことばが書かれている」から手に取るのではなく、さりげなくみことばを身近に置けるよう、単純に「飾っておきたい」と思っていただけるようなデザインを意識しています。

――ボタニカルワックスサシェもキャンドルも、とても素敵です。
洗礼を受けてからも音楽活動を続けられていますが、クリスチャンになったことで音楽との向き合い方は変わりましたか?

洗礼を受けたのが大学卒業を控え、将来について考えていたタイミングだったこともあり、「本当に自分がやりたいことはなんだろう」と深く考える機会が与えられました。

高校生から音楽科に進んだので、常に音楽の成績で順位を付けられていました。もちろん、音楽が好きだからこそ続けてきたのですが、それ以上に、演奏をすることで自分の価値や存在意義を見出すようになってしまっていたんですね。本当はもっと広い世界があるのに、視野がとても狭くなっていました。
その後、進もうと思った音楽の道をことごとく閉ざされてしまって、自分は音楽で何がしたいんだろう、そもそも何がしたかったんだろうと考え込んでしまって・・・。

――どんなに好きであっても、評価され続けることが当たり前という環境は、とても苦しそうです。

そうですね。「評価すること」「順位をつけること」それ自体は健全なことだと思うのですが、評価や順位を神様より大事にしてしまうと苦しくなるのだと思います。
私には頑固なところがあって、そういうまだまだ握ってしまっていたところがあったのですが、道が閉ざされたことで、神様によって強制的にそれらを手放させられたのだと思います。

この時の経験が、ワーシップデュオ「シオヒカリ」を始めるきっかけにもなりました。
このデュオでは、同じ教会に通う作曲家ピアニスト北あおいさんと、自分達にできる最高の音楽の捧げ物をしていこうと活動しています。

――そうだったんですね。
今後、「カピバラshop」、「シオヒカリ」の活動を通してやってみたいことはありますか?

共通しているのは、ノンクリスチャンの方が教会や神様につながるお手伝いがしたいということです。
「カピバラshop」では雑貨やアクセサリーを通して、「シオヒカリ」では音楽を通して、まだ神様を知らない方にどうやって伝えることができるか、模索しながら活動を広げられたらと思っています。

――「シオヒカリ」は8月に東京で、9月に大阪でライブが決定しています。

クラシック×ジャズをコンセプトに賛美歌などを演奏する、これまでにない新しいスタイルのワーシップライブができたらと思っています。
どちらの会場も入場無料なので、ぜひ気軽に足を運んでいただけたら嬉しいです。

――素敵なお話をありがとうございました!

クリスチャン雑貨・贈り物のお店「カピバラshop」HP

KASAI MINORI

KASAI MINORI

主にカレーを食べています。

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