――どんなお仕事をされていますか?
石垣島で自家焙煎のスペシャルティコーヒーとお菓子の店「canaan coffee(カナン コーヒー)」を運営しています。
お店の名前には、旧約聖書に「(神がイスラエルの民に与えた)約束の土地」や「楽園」、「安らぎの場所」として描かれている“カナン”のように、足を運んで来くださる方にとって癒しや安らぎを感じられる存在になれたらという願いが込められています。
――素敵なお名前ですね。以前から飲食店でお仕事をされていたのですか?
まったくそんなこともなくて…。
僕は沖縄本島で生まれ育ったのですが、高校卒業後に進学のために大阪に引っ越してからはフットサル選手を目指していた時期もありましたし、前職は名古屋でアパレル関連の仕事をしていました。
実家は教会でしたが、大阪、名古屋時代は教会にも通っていませんでした。
沖縄に戻るきっかけになったのは、縁あって両親が小浜島にある「CANAAN Coffee&Hotel」のオーナーになったことがきっかけです。
ホテルに併設するカフェとしてオープンしたのが、現在の店の前身である「CANAAN COFFEE & BAKE STORE」です。
――まるで、放蕩息子が神様に呼び戻されたような…(笑)。
本当に、そうかもしれません。(笑)
戻ってきたことで妻と出会い、娘も生まれて新しい家族が増えました。
様々な問題はありますが、飲食経験がなかった僕にこの場所を示されたのは理由があるのだろうなと思いますし、日々祝福されていることを感じています。
――ところで、小浜島も石垣島も観光地ですから、コロナ禍の打撃は大きかったのではないでしょうか。
そうですね。観光客の方々いらっしゃらなくなったことで宿泊のお客様は激減しました。
カフェは地元のお客様も利用してくださっていたのですが、そもそも島の人口が少ないので経営は厳しくなってしまって…。
同じタイミングで娘を授かったことがわかり、妻と話し合って、より多くの方にコーヒーやお菓子を楽しんでいただけるよう、石垣島にお店を移転することを決めました。
――移転資金を集めるためにクラウドファンディングを立ち上げたところ、4日間で目標を達成したと伺いました。
初めの目標達成金額が50万円と低かったこともあると思うのですが、最終的には130人以上の方から110万円以上もの支援していただきました。
県外の方からもたくさん支援していただいて、僕たちが知らないところでこんなにもたくさん応援してくださる方がいらっしゃるんだということが、本当に嬉しかったですね。
――石垣島でお店を始めてからは好調ですか?
地元の方の口コミをきっかけに、少しずつお客様が来てくださるようになってきました。
他県からクラウドファンディングで応援してくださった方などもいらっしゃいます。
――原油価格、物価高騰の影響も大きいのではと思うのですが…。
そうですね、特にお菓子の材料は上がっていますね。
ただ、単にお金を稼ぐためにこの仕事をしているわけではなく、僕は根本的にこの仕事が好きで、お客様の喜ぶ顔が見られることが嬉しいんです。
それから、“コーヒー”には無限の可能性を感じていて。
世界中を見渡してみても、これほど生活に密着していて、日常的に飲まれている飲み物はないでしょう。
1杯のコーヒーからコミュニケーションが広がることもたくさんありますよね。
「canaan coffee」を通じて人と人がつながったり、日本ではマイノリティなクリスチャンに触れてもらう機会になったり…そんな場所を提供できたらと思っています。
――お仕事をされる上だったり、日々の生活の中で、白上さんがクリスチャンであることは影響がありますか?
これまでも決して順風満帆ではありませんでしたし、現在も様々な苦しさや不安と闘っていますが、信仰がなかったら、いま、こうして生きてはいられないと思います。
何かあるごとに神様に立ち返って、祈ることができなければ、総崩れになっていたかもしれません。
――聖書にも「どんなことでも、思い煩うのはやめなさい」(フィリピの信徒への手紙4:6)など、何度も「心配しないでいいよ」と書かれていますね。
最後に、これからやってみたいことなどがあれば教えてください。
「canaan coffee」にはギャラリーとしての側面もあって、沖縄本島で活躍されている方を中心に素敵な作家さんの作品の展示会も開催しているのですが、いつかクリスチャンのクリエイターさんを集めた展示会や、イベントを開催してみたいですね。
来てくださる方には、ヨーロッパのようにキリスト教の文化を当たり前に、身近なものとして感じてもらえたり、「『canaan coffee』に行くと、素敵な人やモノに出会える」と思っていただけるような場所にしていきたいです。
――ぜひ「たまものクラブ」ともコラボレーションしましょう。素敵なお話をありがとうございました!