―どんな活動をされていますか?
東京都立総合芸術高等学校音楽科の同期だった友人と2年間、「連弾野郎」というユニットで音楽活動をしていました。大学2年の後期は休学して、プロの世界でCD制作やライブ活動に専念しました。
その後、今年1月に献身の思いが与えられ、YouTubeの個人チャンネルで週2回、讃美歌伴奏シリーズや特別賛美演奏などを配信しています。新型コロナの影響で教会が閉鎖されてどうしようかという時に、YouTubeで礼拝を配信できないかと、伴奏シリーズや子ども讃美歌の配信をしました。
教会に集まることができず、賛美をすること自体が難しい中で、お家で賛美ができて癒されたという声をいただきました。賛美歌伴奏シリーズでは神さまを誉めたたえることを大切にし、みなさんが家で賛美する時のサポートになるようにしています。日曜に配信している特別賛美枠のピアノアレンジやコラボでは、キリスト教に関心のある人たちに福音とはどういうものかを、賛美を通して知ってもらいたいと思っています。
―音楽の道に進まれたきっかけは?
2、3才の頃からピアノをやっていました。自分からやりたいと言って始めたそうです。自分の中にあるものは音楽しかないなということをずっと感じてきました。ひとつ転機になったのは、中学の時に周りになじめず不登校を経験したことです。3年生の時に合唱祭の伴奏を弾く役目を受けたのですが、音楽の力によって皆と何かひとつの事をすることがすごいなと思ったし、自分自身も救われました。それからは、出られる授業の時は皆の中にも入っていくことができ、卒業式は一緒に迎えることができました。その時、やっぱり自分には音楽しかないし、音楽が自分のことを助けてくれたと思いました。なので、自分はこれから音楽を通して人に励ましや喜びを伝えたいと思いました。
そして、後から思えたのはそこに神さまがいてくださったということです。僕の家はクリスチャンホームで、それこそ生まれる前から教会に通っていました。これまで教会から離れたこともなく、不登校だった時も平日に教会へ遊びに行ったり、祈祷会へ行ったりしていました。年配の方が親身になって接してくれて、やっぱり神さまの守りがあったと後から感じました。この期間がなければ自分はこの道を歩んでいないし、奇跡的なことでした。
―励まされた讃美歌はありますか?
『You raise me up』という曲です。不登校の時に励まされました。「あなたがいるから、私は山の上にも立てる。どんな嵐の海も進んでいける。あなたがいたから、私は高く立ち上がれる。」そういう歌詞が自分を励ましてくれました。あなたというのは、自分にとっては神様だったし、神さまが与えてくれた周りの人たちでした。
―献身のきっかけは?
「連弾野郎」の活動がうまくいかなくなって、活動を続けていくにあたり何か違うと感じていた時の合唱団での経験がきっかけになりました。その合唱団は東京藝術大学音楽部の声楽科や作曲科の生徒を中心に結成された合唱団で、クリスチャンでもある作曲科の同期と僕が指揮と団長をしています。その合唱団で歌う曲を作るため、昨年の8月に広島へ原爆や戦争の歴史を学びに行ったのですが、その時できた曲が今まで「連弾野郎」で作った曲とは視点が違うと思いました。それまでは自分の栄光や賞賛のためだったのですが、そことは全く違うところを進んでいきました。神と向き合わされる時間の中で与えられたという感じです。その作品を書いたことがひとつのきっかけでした。今まで自分が思ってきた音楽の目的ではなく、神さまのために心からの祈りを曲にしたとき、自分の中で変化が起こり始めました。そして、その曲を演奏したとき、合唱団や聴いて下さった人たちと会場でひとつになりました。皆が皆クリスチャンではないメンバーが、作品に込められた思いや祈りを受け止めて表現しようとしてくれている一体感、そしてそれを聴いているお客さまの心にある祈りや、表現されているものへの感情の一体感を感じ、これは自分の力ではなく神さまの力だと感じました。その時から、自分が行くべき道はここではないかと思いました。
―好きなみ言葉は?
「心を尽くし、命を尽くし、知性を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい。」
「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい。それこそ、キリスト・イエスによって神があなたがたに望んでおられることです。霊の火を消してはいけません。」
今の自分の信仰的テーマです。自分勝手に生きてしまう人の性質があるにもかかわらず、神さまは私たちのことを愛して下さる。だからこそ私たちは神さまに倣い、神さまを第一に愛していく。けれど、自分には何も与えられないのかといったらそうではありません。自分の中には喜びと平安が与えられます。
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