神様に与えられた、最高の相方!/お笑いコンビ「アイアム」

お笑いコンビ「アイアム」の新垣勝利(あらかき・しょうり)さん、金城真偉(きんじょう・まさい)さんが掲げるコンセプトは「お笑いを通して、神様のメッセージを伝える」こと。全国各地の教会やイベントで聖書をベースにした漫才を披露しています。前編ではコンビ結成秘話を伺いましたが、後編ではお互いへの想いや今後について伺います。

――コンビを結成して3年目とのことですが、改めてお互いのどんなところに魅力を感じていますか?

しょうり:「神さまのメッセージを伝える」という共通のベクトルがあることもありますが、それ以上にまさいは本当に面白いんです。
役柄を演じるコントと違って、漫才は僕ら2人の“おしゃべり”を楽しんでもらうことが目的ですから、僕はずっとネタを書く上ではそれぞれの人柄を出すことを大事にしているんですね。
まさいのことはコンビを組む前から面白い奴だと思ってはいましたが、アドリブで僕には思いつかないような言葉が出てきたり、刺激を受けます。
また、聴覚障害がある家族と手話や表情で会話をしているからか、ジェスチャーがすごくうまい。
だからネタ合わせをしていても、僕から「もっとこんな風に表現してほしい」と要望を出すことはほとんどありません。

まさい:(身ぶり手ぶりは)自然と出ちゃうんですよね。
しょうりの良さは、誠実でまっすぐなところでしょうか。
僕、お笑いってアホな人がやると思い込んでいたんですね。頭が良くて面白いなんてあり得ないだろうって。
僕にとってしょうりは頭が良くてきっちりとしている印象があったので、お笑い芸人になると聞いても「へー」ってどこか引いていたくらいで。
それが一緒に住むようになり、どんどん関係が深くなる中で、真剣にお笑いに取り組みながらもいつもどうふざけようかを考えていることに気づきました。
コンビでは一応、僕がボケでしょうりがツッコミですが、ボケている数で言えば、しょうりの方が圧倒的に多いんですよ。こんな人もいるんだ、と驚かされました。

しょうり:めっちゃ褒められた!嬉しいなぁ。

幼少期のしょうりさん(左)、まさいさん(右)

――音楽の道を目指していたまさいさんが「お笑い芸人になる」と知って、ご両親はどんな反応でしたか?

まさい:初めのうちは「お笑いなんて……」と不安を感じたり、道を外れないか心配をしていたようなのですが、今はすごく応援してくれています。

――どのようにして活動の場を広げていかれたのでしょうか?

しょうり:初めの2年間はネタを披露する場所が本当になくて、YouTubeチャンネルを開設し、毎週新ネタをアップすることを繰り返していました。
やっぱり漫才は“ナマモノ”で、お客さんの反応を見ながらネタをブラッシュアップさせていくものなんですね。
僕たちとしてはそれができないことがネックに感じていたのですが、この動画が名刺代わりになっていて、少しずつお声をかけていただけるようになりました。
現在僕はキリスト教専門の広告代理店「はこぶね便事務局」で働いていて、お笑いのお仕事も事務局を通して受けているのですが、東京の方がやはり受け入れられやすい環境だなと感じます。
ありがたいことに、いろいろなクリスチャン系メディアで取り上げていただいたのをきっかけに知っていただいたり、各地の教会との繋がりが増えたりもしています。

まさい:YouTubeといえば80回も撮り直したことがあったよね。
僕がどうしても「スベスベケブカガニ」って言えなくて、何度も噛んでしまって…。

しょうり:どうしても譲れなくて。
まさいが途中で「糖分が足りない」とか、「睡眠が足りない」とか言うから、ものすごい時間かけて撮ったよね。
しかもあんなに苦労して撮影したのに、それほど再生回数が伸びていないという(笑)。

――そのエピソードが面白いです(笑)

――「難しい」と捉えられがちな聖書を、お笑いのネタに変えるのは、かなり難易度が高そうです。
ネタを考える上で、大事にされているポイントは?

まさい:確かにおもしろさと、どう表現するか、配慮のバランスは難しいところですね。

しょうり:お笑いというと毒を吐いたり、下品な発言が多いというイメージを持つ方もいますよね。
教会には色々な考え方の方がいらっしゃるので、笑ってくださる方もいれば、「神様をいじるなんて」と怒られることもあります。

僕は本当に面白いネタを書きたいし、ひとりでもたくさんの人に笑ってもらいたい。
だからこそ、日々聖書に触れて、祈りながら「神様のメッセージを伝える」ことからブレないようにする。
これはすごく大事にしているところですね。
ただ、“教会あるあるネタ”や、ある程度聖書の知識がないとわからないネタになりがちで、クリスチャンではない方にも理解できて、笑ってもらうネタを書くのが本当に難しくて。
いつも頭を悩ませています。

――しょうりさんはこれまでにコンビを3回解散されていて、辛い思いもされてきたかと思いますが、「アイアム」結成後に変化はありましたか?

しょうり:やっぱり不安はありますし、年に何回か、「あっ、この光景前にも見たことがある。このままだと解散してしまうかもしれない…」と思う瞬間があります。
激しく衝突するというよりも、どちらかがガクッと落ちてしまうんですね。
ただ、これまでの相方とは“芸人として売れたい”ことが唯一の繋がりでしたが、まさいはコンビの相方という以前に信仰の友であって、2人の中心には聖書がある。
お互いにキツイことがあったらシェアして励まし合ったり、祈り合ったりしています。

いまはフリーランスで、2人とも平日は別の仕事をしていて、土・日や祝日を中心にお笑いライブを行っています。
事務所に所属していた頃と違って、マネージャーや先輩・後輩など取り持ってくれる存在もいないし、お互いの存在しかいないんですよ。
強制力もないし、やめようと思えばいつでもやめられるわけです。
だから、自分たちはどこに立ち、何をしようとしているのかや、どちらか落ちている時は何に心を支配されているのか、疲れているのかなど、こまめにコミュニケーションを取るようにしています。
沖縄の教会の牧師が僕たちのメンターとして関わってくれていることも大きいですね。

――友人であり、仕事上のパートナーでもあり。お2人にとっては、関係を維持する上で聖書や神様の存在が大きいんですね。
最近、クリスチャンのための結婚相談所「Lita marriage service」の公式アンバサダーにも就任されましたが、どんな経緯があったのでしょう。

しょうり:「アイアム」を結成してから1年間、2人で沖縄に戻って活動していたのですが、僕のはこぶね便への入社を機にもう一度上京することになりました。
ただ、入社のタイミングが予定よりも3か月早まったことで、それ以前に決まっていた沖縄でのライブの予定をどうしようか、ということになったんですね。
というのも、東京⇔沖縄間の往復の費用が出せなくて…。
そこで「交通費をください」というクラウドファンディングを実施したんです。
クラファンのリターンだった「聖書箇所やメッセージ、好きなテーマで台本を作成します」を活用して、「広告になるようなネタを作ってほしい」とご依頼をいただいたのがきっかけです。

まさい:目標金額220,000円って、クラファンにしては相当低めの設定だったよね。(笑)

――昨年は音楽イベントの司会も任されるなど、活動の場を広げています。今後やってみたいことや、夢はありますか?

まさい:47都道府県でお笑いライブを開催してみたいです!

しょうり:現在は教会や、教会関連のイベントへの参加が中心ですが、どんな場所にも福音は必要です。機会があればどこにでも出向きたいと思っています。
YouTubeも力を入れていきたいですし、ポッドキャストをやろうね、という話もしています。MCもやります!

――最後になりましたが、コンビ名の由来について教えてください。

しょうり:出エジプト記3章14節「わたしは、『わたしはある』という者である」(I am who I am)から取りました。
聖書の学びの場で、英訳を初めて聞いて、僕もまさいも「ちょーかっこいいじゃん!」と、完全に響きだけで決めました。
深い意味がなくてすみません(笑)

――覚えやすくて、素敵なコンビ名だと思います。(笑)
楽しいお話をありがとうございました!

YouTube公式チャンネル:アイアムの「We are アイアム」
アイアム(Instagram):@weare__iam




KASAI MINORI

KASAI MINORI

主にカレーを食べています。

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