神様からの「あなたを愛しているよ」のメッセージを一枚の写真に込めて。写真家・市川五月さん

フォトグラファーの市川五月さん

――どんな活動をされていますか?

フリーランスの写真家として、ウェディングや家族写真などのポートレイトを中心に、WEBや紙媒体の広告や取材撮影なども請け負っています。

――もともと写真を撮ることに興味があったのでしょうか?

そうですね。とくに初めの頃は風景写真が好きで、神さまの被造物を撮ることで、神さまの素晴らしさを伝えたいという想いから、いろんな風景の写真を撮っていました。
高校卒業後の進路について祈っていたときに、なんとなく目的がないまま大学に行くよりも好きなことを仕事にしたいという気持ちが芽生え、「写真に関わる仕事をしよう」と就職したのが写真屋さんです。

――撮る側ではなく、プリントする場所ですね。

ええ、そうです。
この会社が印刷にこだわっていて、プロのカメラマンさんも使ってくださるような場所で。ここで仕事をしたり、お客様と色々なお話をするなかで自分も撮る側になりたいと思うようになり、働きながら1年間写真学校に通って、基礎から学びました。

――フリーランスの写真家として、どうやって仕事の幅を広げていったのでしょうか?

当時、流行っていたmixiに自分が撮影した空の写真や、友達の結婚式の写真を上げていたら、それをたまたま、ウエディングフォト業界第一線の事務所の社長さんが見つけて、スカウトしてくださったんです。
でも、私はクリスチャンなので、礼拝がある日曜日は仕事ができません。そのことを伝えたら社長が「自分もミッションスクール出身だからわかるよ。婚礼はどちらかというと土曜日の方が多いから、日曜日は休んでも大丈夫」と言ってくださって。とてもありがたかったです。この事務所での経験が、今の自分にも大きく活きているなと感じています。

――懐の深い社長さんですね。そんな事務所を辞めて、次のキャリアに進むきっかけはなんだったのでしょう?

当時はまだフイルムで撮影して、現像して、アルバムを作成して…という流れが主流でした。私が働いていた事務所では、カラーとモノクロ、両方撮影をして、手焼きでプリントをしていたんですね。
ただし、現像やアルバムを作るのはアシスタントの仕事で、私たちカメラマンの仕事は打合せや当日の撮影、納品のときに立ち会うこと。仕事を続けるなかで、もっとお客さまと深くかかわりたい、写真に関わる一連の作業を全部自分でやりたいと思うようになり、独り立ちすることを決めました。

事務所を辞めたのがちょうど20代後半で、友達がどんどん結婚していくタイミングだったこともあって、友達の結婚式の撮影をきっかけに口コミが広がって、次の仕事に繋がっていきました。いまも集客は口コミが中心ですね。お客さまから別のお客さまを紹介していただくこともあります。

――いい写真を撮ってもらったからこそ、自分の大切な友人にも紹介したい…すごく素敵な広がり方ですね。ちなみに、今まで何組のウエディングフォトを撮影されてきたのですか?

結婚式だけでなく、前撮りや後撮り、フォトウエディング(写真だけの結婚式)なども含めると1000組くらいでしょうか。

――そんなにたくさん! お仕事をされる上で、市川さんがクリスチャンであることは何か影響がありますか?

そうですね。写真を仕事にしようと決めたときから、神さまの導きや後押しを常に感じてきました。フリーランスゆえ、仕事がなくなったらどうしよう…という不安との戦いもありましたが、神さまは必要な時に仕事を与えてくださる、マネージメントされている感覚があります。

風景を撮っていた頃から「写真を通じて神さまの素晴らしさを伝えたい」と思っていましたが、最近は人間こそ神さまの最高傑作だなと感じています。一枚の写真から、お客さまに「あなたは高価で尊い存在(イザヤ書43:4)である」ということを伝えたい、また、その写真を見たほかの人にも、神さまの素晴らしさが伝わったらという想いを込めて撮影しています。

――素敵ですね。2022年にはウェディングをトータルでプロデュースする「the vow(バウ)」も立ち上げられました。こちらはどんな経緯で立ち上げたのでしょう?

教会の結婚式の撮影を依頼されることが多いんですが、実際に行ってみるとウェディングプランナーやウェディング専門のヘアメイクがいなかったり、もう少し工夫したら、もっと素敵な結婚式にできるのに…と思う瞬間がたくさんありました。
そこで、お仕事を通じて出会ったクリスチャンのウェディングプランナーやヘアメイク、ドレスデザイナー、フローリスト、グラフィックデザイナーの方たちに声をかけ、教会で、神さまの前で誓い合うお二人に寄り添い、結婚式をサポートするチームを作ろうということになったのです。
結婚式の段取りやタイムキープから、似合うヘアメイク、ドレスの提案などすべてをプロデュースしています。

――小規模な教会にこそ喜ばれそうなサービスですね。

本当にそうなんです。
結婚式を挙げる場合、信徒たちですべて準備をするケースがほとんどです。規模が大きく、若い方がたくさんいる教会であれば準備もそんなに難しくないかもしれませんが、小規模な教会や、ご高齢の方が多い教会だと、新郎新婦が準備をすべてやらなければならない、結婚式当日も忙しくて…と、それだけで疲弊してしまうケースもあります。
お二人にとって大切な日だからこそ、夜なべをして目の下クマができたまま当日を迎えてほしくない、当日はただ笑顔でいてほしいなと思っていて。
自分たちでできない部分はプロに頼んで、安心して結婚式を迎える―そんな選択肢があってもいいのではないかなと思っています。

――反響はいかがですか?

2022年6月から本格的にスタートしたのですが、すぐに4、5件のご依頼をいただきました。結婚式当日に、ゲストの方から「いつか私が結婚するときもお願いしたいです」と言っていただくこともあって嬉しいですね。
また、結婚5周年、10周年など節目のタイミングで、改めて神さまの前で誓い合う「バウ・リニューアル」の撮影も好評です。

――今後、やってみたいことはありますか?

まずはthe vowの活動を広げていくこと。
もう一つは、最近、自宅を改装してアトリエスタジオを作りました。ウェディング以外にも、ファミリーやマタニティ、ニューボーン(新生児)など、ご家族の記念日写真のご依頼も受けているので、よりリラックスした環境で撮影ができるようになると思います。

いつか、児童養護施設で生活する子どもたちや、経済的にプロに撮影を頼むのが難しいご家庭の方、色々な事情で心に傷を抱えている方などにも、写真を通して「神さまに愛されている」というメッセージを伝えることができたらという想いもあります。

――自己肯定感が低いと言われている日本人にとって、「みんな、愛されている存在なんだよ」と目に見える形で伝えてもらうことは、とても大切なことかもしれませんね。素敵なお話をありがとうございました。

公式HP
Hajime no Ai(ウェディング&ファミリーフォト)
the vow




KASAI MINORI

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主にカレーを食べています。

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