もしも自分に信仰がなかったら、我が子に手をかけていたかもしれません。/曙橋「お食事処GRACE」ミレンデス久美子さん、クリスティンさん(後編)

東京・曙橋の「お食事処GRACE(グレイス)」は家族そろってクリスチャンというミレンデスさんファミリーが営むお店。前編ではお店を代表してミレンデス久美子さん、クリスティンさんに、これまでの経緯について伺いました。後編では、改めて「信仰」がお2人の人生に及ぼしている影響や、今後の展望について伺います。

――お話を伺っていると、自分たちの生活のためというよりも、「神様のため」にお店を続けているように感じます。
もしも、いまの自分に信仰がなかったら、どんな人生を送っていたと思われますか?

クリスティンさん(以下、敬称略):うーん……。私は母のお腹の中にいる頃から教会に通っていたので、あんまり考えたことがないのですが……。
洗礼を受けることを「救われる」と表現する一方で、クリスチャンの間では、「救われてからの人生の方が、問題がいっぱいだ」という話をよく聞きます。確かに私も、ノンクリスチャンの友達と自分を比べながら、そんな風に感じていたことがありました。
でも最近は、何も問題がないように見える人も、実際はそうふるまっているだけで、私たち以上にたくさんの問題を抱えていたり、誰にも話すことができなくて苦しんでいるんじゃないかと思うんです。
私は神様に守られているという確信があるので、何かあってもひどく落ち込むことはありません。辛いことがあれば信頼できる家族やクリスチャンの友人に打ち明け、一緒に祈ってもらうことで癒しを受けることができます。
日々アップダウンはありますが、こうした恵みをたくさん実感しているからこそ、自分がクリスチャンで良かった、クリスチャンの友人や家族が与えられていて良かったと思っています。

――表面上は「うまくいっている」ように見せていても、実際は辛いことを紛らわせるために別のことに打ち込んで体を壊したり、心を病んだりという人は多いかもしれません。
26歳までノンクリスチャンだった久美子さんは、いかがですか?

久美子さん(以下、敬称略):私の場合は、物事を真剣に捉えていなかったというか――問題があっても見て見ぬふり、「まぁ、どうにかなるんじゃない」という感覚で、要領よく、ずる賢い生き方をしていました。その分、洗礼を受けたことで、それまで見て見ぬふりをしてきた自分の色んな問題がはっきり見えて、一つひとつ解決しなければならなかったんです。
その一つが「怒り」でした。その頃の私は、一度怒り出したら止まらなくなってしまって、物に当たったり、幼かった長女に手を上げてしまうこともあって……。完全に虐待ですよね。でも、自分ではそれが虐待だとわかっていなかったんです。

洗礼を受けてから、ようやく自分が娘にしてきたことの重大さに気づき、手が震えるほど怖くなりました。でも、悪いことなんだと自覚しても、自分の力ではやめることができない。だから必死で「あなたの愛する大切な魂である娘に、私は本当にひどいことをしています。でも、どうしても自分では止めることができません。神様、助けてください」と祈りました。
そこに、奇跡が働いたんですね。完全に「怒り」の感情がなくなったわけではありませんが、幼い娘に手を上げることはなくなりました。
もしもあのまま信仰を持つことがなかったら、私は殺人者になっていたかもしれないと思います。

店を構えるのは都営新宿線「曙駅」からほど近い場所。店内は落ち着いた雰囲気が漂う

――産後うつなども社会問題になっていますが、当時の久美子さんと同じように悩んでいる子育てファミリーは多いかもしれません。
前編では、久美子さんはかつてちょっと悪かったともお話されていましたが、まるで別人のように変わったんですね。

久美子:本当に作り変えていただいたので、感謝しかありません。もう2度とイエス様を手放したくないですね。

クリスティン:この話は何度も聞かされていますが、今の母を見ていると私も想像ができません(笑)

――オープンから1年半が経ち、今後の展望などがあれば教えてください。

店名の由来や、聖書のメッセージが書かれたメニュー表

クリスティン:これまで父がひとりでキッチンを切り盛りしてきたのですが、父の負担が大きいため、定休日を増やす、メニュー構成を変更するなど少し体制を変えたいと思っています。
もう一つ、9月から始めたこども食堂にも力を入れていきたいと思っています。

――こども食堂はどんなきっかけで始められたのでしょうか?

クリスティン:別のこども食堂を運営しているクリスチャンの方に「やってみませんか?」と声をかけていただきました。
このお話をいただくまで私も知らなかったのですが、このエリアにはこども食堂がほとんどないそうです。実際にはじめてみたら、たくさんの親子連れが来てくださって、改めて地域の方々に必要とされていることを実感しました。
今は毎週火曜と土曜の2回、17時~18時30分までこども食堂を開いています。

――こども食堂は単に食事をするだけではなく、子どもたちやお父さん、お母さんが、普段接する機会が少ない地域の人々とつながる場としてとても大切な場所ですね。
最後に、お店を運営される上で大切にされていることを教えてください。

久美子:マニュアルではなく、それぞれが神様に「何をするべきか」を尋ねながら仕事をすること。特に接客面では、聖書に「何をするにも、人に対してではなく、種に対してするように、心から行いなさい」(コロサイの信徒への手紙3章23節)と書かれているように、お客様一人ひとりに対して、平安や喜びの心をもって接することを大切にしています。
家族でやっていると、どうしてもぶつかり合うこともありますが、その度に互いに赦し、愛し合い、励まし合いながら、長く続けていくことができたらと思っています。

――素敵なお話を、ありがとうございました。私もお店に伺います!

お食事処GRACE
住所:東京都新宿区住吉町8-28 B-STEPビル 1F
TEL:080-3404-9354
営業時間:12:00~15:00(14:30LO)、18:00~20:00(LO)
定休日:水、日、祝日
公式Instagram:@oshokujidokoro_grace

こども食堂(毎週火、土)
営業時間:17:00~18:30
予約はこちらから

KASAI MINORI

KASAI MINORI

主にカレーを食べています。

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