2022年から「ゴスペルペインター」として活動しているサナさん。見る人を包み込むような温かいタッチの絵画作品が話題を呼んでいます。前編では「ずっと自分探しをしていた」というサナさんのこれまでの歩みについて伺います。
――さっそくですが、サナさんはどんな活動をされているのでしょうか?
いわゆる“絵描き“です。「ゴスペルペインター」なんて名乗っていると、音楽に合わせて絵を描くライブペイントなどをしているように思われますが、そんなことはなくて(笑)。
もともと絵を描くことは好きだったのですが、約2年前から神様から受けた愛や、神様のメッセージを伝えることを目的に絵を描くようになりました。
――ゴスペルペインターとしての活動を始めたのは、何かきっかけがあったのでしょうか?
本職は小学校の教員で、以前は仕事の合間に絵を描いていました。
担任を持たせてもらうようになってからの3年半で心身共に疲弊してしまい、心を病んでしまった期間があって……。仕事も休まなければならず、改めて自分の人生を振り返り、「このままでいいのだろうか」と考えた時に、自分のやりたいことを通して、やりがいや生きる意味を見つけたい、と思ったんですね。そうしてたどり着いたのが“ゴスペルペインター”でした。いまは非正規で教員として働きながら、絵を描いたり、個展を開いたりといった活動をしています。
――働き方改革の遅れをはじめ、学校の先生を取り巻くさまざまな課題は社会問題にもなっていますね……。
サナさんにとって、絵を描くことは癒しになっていたのでしょうか。
そうですね。もう少し詳しく背景をお話すると、私は子育てをしながら通信制の大学で学び、教員免許を取得しました。教員を目指したのは、自分も社会の役に立ちたい、何ができるだろうと考える中で見つけた答えです。
ところが、1度目の教員採用試験で落ちてしまってひどく落ち込み、自分には「教員」の肩書きがなかったらまったくの“空っぽ”で、何もないんじゃないか――と虚しさや焦りを感じてしまって……。そのときにふと、「自分には絵がある」という思いが沸き上がりました。そこから自己表現としての絵を描く楽しさに熱中するようになり、今に至ります。
――その頃にはもう、クリスチャンとして生活されていたのでしょうか?
ええ、そうです。といっても、クリスチャンホームで育ったわけではなく、教会で開かれていた、地域の子育て中のママ&パパのための交流の場「オリーブのひろば」がきっかけで教会に通うようになりました。
そこに集まる人はほとんどクリスチャンではなく、パパやママがゆっくりお茶を飲んでいる間に信徒の方がボランティアとして子どもたちの様子を見てくれる、というコミュニティスペースでした。
ごり押しで伝道されるようなこともなく、牧師さんや信徒の方が「子育て大変よね。でも、神様が守ってくださってるから大丈夫。安心してね」と励ましてくれて。そんな雰囲気がとても心地良く、同じ頃に通っていたほかのサークルは、リトミックや制作など子どもとママパパとの活動メインだった中で、ちょっと異色だなぁと感じた記憶があります。
――いわゆる地域コミュニティから教会につながるのは、なかなか珍しい気がします(笑)
実はその前にも、CMで『パワー・フォー・リビング』という書籍が無料で配布されているのを知り、何も知らずに取り寄せて読んでみたら、キリスト教関連の書籍だった、ということがありました。CMで国内外の著名人が登場したり、この本には「本当の成功とは何か?」が書かれていると盛んに発信されていたりして、興味が沸きました。
のちに教員を志したことにもつながるのですが、その頃は子育てをしながらもずっと“自分探し”を続けていたというか……成功とはなんだろう? お金をたくさん得ることが果たして成功なんだろうか? 「自分は成功者だ」と語る人は、本当に成功しているんだろうか? そんな風に考え、答えを探し求めていたのです。
書籍には「成功したいのであれば、いまあなたが座っている王様の椅子を、神様に譲りなさい。そうすれば“成功”が与えられる」というようなことが書かれていて、「本当にそうなの? じゃあちょっと試してみるか」というような感覚で、なんとなく生活で実践するようになりました。
やがて教会に通うようになり、少しずつ聖書を読んで学ぶうちに、「神様が私たちを造られて、1人もこぼさず幸せにしたい、成功に導きたいと思われている」という確信に触れ、書籍に書かれていることは「本当にそうだったんだ」と感じられたことで、洗礼を受けました。
――ずっと探し求めていた「何か」をようやく見つけられたんですね。
ちなみに、その頃一緒に教会に集まっていたパパやママ、ご家族の中には洗礼を受けられた方はいますか?
「オリーブのひろば」に私が通っていた頃に来ていた方の中にはたぶん、いないと思います。
教会の牧師には『パワー・フォー・リビング』をきっかけに導かれる人は少ないと驚かれたこともあったので、導かれるまでのルーツとしては少し変わっているのかもしれません。(笑)
家族間では、まず義理の母が一緒に教会に行くようになり、洗礼を受けました。しばらく後で夫にも神様を知るタイミングが訪れ、受洗しています。
私が特別強く伝道したわけではなく、神様がさまざまなことを通して道を拓いてくださっているのだなと感じます。
――洗礼を受ける前と後で、SANAさんの人生は変わりましたか?
困難な状況に直面したときに、以前ほど慌てなくなったというか……。ちょっと踏みとどまって「これも神様が何か理由があって起こしている状況であり、このままでは終わらない。必ず道を拓いてくださる」と考えられるようになりました。
後編に続く。
サナさんのInstagram:@anemos.0523
※個展などの情報はInstagramにて随時発信しています