YouTubeチャンネルの運用代行を行う株式会社クロスポイント。前編では代表・高岡佳己(たかおか・よしみ)さんに会社を立ち上げた経緯について伺いました。後編では、新たな取り組みやこれからのビジョンについてお話を伺います。
――2021年の独立から、いままでどれくらいの数のYouTubeチャンネルに関わってきたのでしょうか?
つい最近数えてみたら、50を超えていました。
――どんなジャンルの動画が多いんでしょう?
ヨガやコスメ、料理、体質改善、ダイエットなど本当にさまざまですが、とくに女性向けの動画が多いですね。
――作りながら共感できる部分も多そうです。
そうですね。
“共感”というテーマで言うと、最近は「フェムテック」の分野に特に興味があって。
――女性ならではの心身の健康をサポートするフェムテックの分野は、ここ数年とくに注目度が高まっていますね。
私自身がフェムテックとの出合いに救われたというか……。私はずっと母親と関係が良くなかったんです。
聖書が伝える「たとえ、母には愛されていなかったとしても、神様は私のことを愛している」というメッセージがどうしても入ってこなかったんです。聖書にどれだけいいことが書かれていたとしても、間に母の存在を意識してしまって、字面ばかりが通り過ぎていくような感覚でした。
それが、フェムテックという言葉を知り、改めて母のことを振り返ってみると、あの頃の母は更年期障害で苦しんでいたんだ、ホルモンバランスの乱れが原因だったんだ、と気づきました。
当時は自分もいずれ年齢を重ねたらあんな風になってしまうんだろうか、同じ道を辿るのはイヤだなと思っていたのですが、更年期障害について調べていくうちに今は色々な対策方法がある、まずは病院に行くことも大切だということもわかってきて。
自然と、母のことも受け入れられるようになっていったんです。
――いま聖書のお話が出ましたが、高岡さんはいわゆるクリスチャンホームで生まれ育ったんでしょうか。
いえいえ、まったくそんなことはなくて。
子どもの頃は近所にあった教会学校に通ったり、中学、高校もミッションスクールに通っていたので、毎日聖書は開いていたのですが“読まされている”という感じでした。
教会に通うようになったのは、結婚して、子供が生まれてからです。子どものお友達のおうちが教会だったことがきっかけになりました。
――それは、誘われて通うようになったんでしょうか。それとも、自分の意思で?
自分の意思です。子どもの幼稚園生活が始まって、生活が大きく変化する中で、何か揺るぎないものを持っておきたいと感じたんです。それで、もう一度聖書をちゃんと読んでみたいと思うようになりました。
――大人になって改めて聖書に触れたことで、人生や価値観に変化はありましたか?
聖書を読めば読むほど、神様のことを知れば知るほど、自分は本当に“無力”であることを思い知らされます。ここまで生きてこられたのは、自分が頑張ってきた結果だと思っていたけれど、実際はそうじゃなかったのだと気づきました。
日々の祈りのなかで「我を捨てなさい」というメッセージにたどり着くことがよくあります。子育てや仕事を通しても、自分を捨てて、“神様に明け渡す”タイミングがたくさんありました。
とくに息子に対しては、生まれた瞬間に、嬉しさと同時に「私はこの子を育て上げなくてはいけないんだ!」というプレッシャーを感じて、すごく執着してしまって。一時期は相当“ウザイ”母親でした(笑)。でも、息子は年齢とともに親から離れて、どんどん扱いづらくなっていきます。悩んで悩んで、正直なところ「どうして思い通りにいかないんだろう」と思うこともありましたが、あるとき「これは、手放しなさいということなんだな」と受け入れることができたんです。
そうしたら、逆に楽しみになってきて、「神様はどうやって私を執着から引き離すんだろう」と思っていたら、息子から神様の方に歩み寄っていったんです。私とはほとんどしゃべってくれないのに、机の上には聖書が置いてあったりするんですよ。
今は息子も大人になって、自立して物理的な距離があるせいかもしれませんが、良い関係を築けていると思います。
――子どもの頃、頑張らないと褒めてもらえなかったりとか、頑張ることでしか自分を保つことができなかった経験があるのかもしれませんね。
そうかもしれません。子どもの頃に負ったキズはとても根深いもので――日曜日の礼拝で聴いた話にその時は納得しても、平日になると忘れてしまう。初めのうちは日曜日だけ、教会にいる間だけ信仰がある“サンデークリスチャン”でした。
自分の会社の名前を「クロスポイント」としたのは、イエス・キリストの十字架を忘れないでいたいという想いいからです。日曜日だけでなくいつも神様と一緒にいるという意味を込めて、また、社名の由来を聞かれた時に「クリスチャンなんです」と自然に話せるきっかけになればと思っています。
――これからやってみたいことはありますか?
ひとつは、先ほどもお話したフェムテックについて伝えていくこと。話題にはなっているものの、盛り上がりに欠けているような感覚があって・・・。生理やPMSで悩んでいる世代、これから妊娠、更年期を経験する人たちが、もう少し身近に感じられるような情報を届けたいと思っています。少しでも女性が働きやすい、生きやすい社会になっていくと嬉しいですね。
もうひとつは、クリスチャンではない方に向けて聖書の言葉を伝えるショート動画の作成に取り組んでいるのですが、思っている以上に再生回数が伸びているので、より興味を持ってもらえるような動画を作っていきたいです。
コロナ禍をきっかけに始めた動画編集の仕事であり、自分の中では「仕事は仕事、信仰は信仰」と分けて考えていたのですが、今はYouTubeというツールを使って、多くの人に神様の希望や癒しを届けることができたらと思っています。
――素敵なお話をありがとうございました。