「クリスチャン結婚支援ミニストリー(※) リベカ」(以下、リベカ)は、結婚を希望するクリスチャンのための結婚相談所。一般の結婚相談所の成婚率が約10%(経済産業省の調査による)といわれている中、リベカの成婚率は36.5%(2023年3月現在)と高く、「リベカなら、結婚ができる!」と口コミで評判が広がっています。
前編では、代表の中西じゅん子さんにリベカの歩みや仕組みについて伺いましたが、後編では結婚観や“クリスチャンの結婚生活”について伺います。
※ミニストリー…教会では主に、教会や信徒が聖書のメッセージや信仰について広く伝えるための活動全般を指します
――改めて中西さんが考える「結婚」とはどんなものでしょう?
私にとって「結婚」とは「福音」、つまりグッドニュース、良い知らせです。
クリスチャンの方であれば、洗礼を受ける時に「これからはイエス・キリストを信じて従っていこう!」と決心されたと思います。
この決心は、結婚の時に「この先どうなるかはわからないけれど、この人と生きていこう!」と決断するのと似ていると思うんですね。
そして、「こんな自分を受け入れ、許してくれるんだ」という驚きや感動、感謝などを伴った結婚は、まさに福音であり、多くの人に伝えたくなります。
――素敵な夫婦のあり方が、「いつかこんな夫婦になりたい」と結婚に憧れを抱いたり、グッドニュースを広げるきっかけにもなるかもしれませんね。
本当にそうですね。
もう一つ、私自身が夫を見ていて感じるのは、「結婚とは、パートナーへの献身である」ということ。どちらか一方が、ではなく、“お互いに”という姿勢がポイントです。
彼は私の働きを、本当に“献身的”としかいいようがないくらい、全力で応援してくれているんです。
クリスチャンの結婚は「ふたりはひとりよりまさっている」こと(伝道者の書4:9)だと思います。
結婚を通して、まだ充分には知っていなかった神様の愛の深さなど、より多くのことを初めて理解し、神様の方向へ2人が近づくことであり、そこには大きな喜びが伴います。
聖書には「もしひとりなら打ち負かされても、ふたりなら立ち向かえる。三つ撚りの糸は簡単には切れない。」(伝道者の書4:12)と書かれているように、神様と夫婦、この三つ撚りの糸は強く、簡単には切れません。
もちろん、結婚生活においては嬉しいこと、楽しいことばかりではないですが、ふたりで一緒に困難や危機を乗り越えながら、共に成長していけることも何物にも代えがたい大きな喜びです。
――日本では「夫婦の3組に1組が離婚している」といわれていますが、婚姻関係を持続するための秘訣は何だと思われますか?
クリスチャンであるかどうかに関係なく、お互いに自分の感情をぶつけ合ってばかりいたら、結婚関係は壊れてしまいますよね。
日々の生活の中で、様々なことがありますが、大切なのは、結婚した時の喜びや感謝を忘れないことではないでしょうか。
クリスチャンであれば、「敵を愛しなさい」(ルカの福音書6:35)や「互いに赦し合いなさい」(エフェソの信徒への手紙4:32)、「愛は忍耐強い」(コリントの信徒への手紙1 13:4)など聖書に立ち返ることも重要です。
また、リベカではパートナー間の課題解決や、お互いをより深く理解し合うことなどを目的としたカップルカウンセリングを行っています。リベカの会員だけでなく、宗教、状況を問わずに受けられるもので、アメリカでは結婚前にカウンセリングを受けることで離婚率が30%低くなるという研究結果も出ているんですよ。
――身内ではない第三者が間に入ることによって、冷静になれたり、気持ちが整理されることは多そうです。
お仕事をされる上で大切にしていることはありますか?
クリスチャン同士の結婚を支援することは、「神様の御心にかなった働きである」との確信に立つことです。
代表として、難しい判断を迫られる場面に立つこともありますが、恐れや不安に支配されていては、働きは進みません。リスクを負い、犠牲を払わなければ見られない実りがあるとも思っています。
もうひとつは、「覚悟」を持つこと。結婚相談所の仕事には、うまくいかなかった場合、お世話をした人が憎まれたり、恨まれたりもする可能性を秘めています。非難を受けるようなことがあった際、同じ思いで奉仕しているスタッフも「覚悟の上だ」と言ってくれるので、本当にありがたく思っています。
――結婚を考えているクリスチャンに向けて伝えたいことはありますか?
「リベカ」の名称は、アブラハムが遠くまでも年長のしもべを遣わし、身近な異教の信仰を持つ女性の中からではなく、あくまで同じ信仰を持つ女性と結婚させるようにとした聖書の個所から取り上げました。イサクのパートナー探しの条件はたったひとつ、「真の神様を信じる女性の中から」ということであり、遠方まで出向くべき「努力すべきこと」、価値あることとみなされたのです。
「クリスチャンとの出会いがない」という方がたくさんいらっしゃいますが、視野を広げれば全国に独身のクリスチャンはたくさんいます。本当に結婚を願っているなら、探し求める努力や、犠牲やリスクを負うことも必要ではないかなと思います。
――中西さんたちが覚悟を持ってお仕事されているように、結婚を求めている側にも「覚悟」を持って臨む姿勢が必要なんですね。
はい。そして、ぜひ「自分は結婚したい」と意思表明をしてほしいですね。
特に最近は、以前のように「結婚しないの?」とは気軽に触れにくい時代です。ご自身から開示することで、身近な場所からお相手をご紹介されたり、新しい道が開かれることもあるかもしれません。
クリスチャン同士が結婚するまでの道のりは、決して簡単ではありませんが、私たちは、あくまで願い続けた方々が、それぞれにふさわしいタイミングで結婚へと導かれる様子を目にしてきました。スタッフの中には、自身が結婚で苦労した経験がある人や、リベカで成婚した人もいます。一人一人、親身になって寄り添いますので、年齢や地域などにかかわらず、まずはご相談いただけたらと思います。
――一方で最近は、結婚したくない人、結婚に希望を見出せない人が増えているといわれていますが、中西さんはどのようにお考えですか?
結婚は人生を大きく左右するできごとであり、大きな選択と決断を迫られます。決して良いことばかりではないですし、相手に合わせなければならないこと、労苦や困難も伴いますよね。
でも、こう考えてみてほしいのです。人生の終わりに、「一人で生きてきてよかった」と思うでしょうか。色んなことがあったとしても「結婚してよかった」と思うのでしょうか。また、「結婚すればよかった」と後悔はしないでしょうか――。
これらの問いに、自信をもって「独身でいること」を選択できるなら、無理に婚活をする必要はないかもしれません。でも、少しでも「結婚すればよかった」と思う可能性があるなら、時間やお金、労力をかける犠牲を払ってでも婚活することをおすすめします。
結婚が自由な時代、誰も強制することはできませんし、一度きりの人生です。「生涯、一人でいたい」と願う方以外は、ぜひ一度、真剣に自分が結婚すべきか、すべきでないのかを整理して考えてみていただけたらと思います。
結婚関係でしか得られない喜びがたくさんあるということもお伝えしたいですね。
――今後の展望や、思い描く未来について教えてください。
今の日本は「結婚困難社会」、「結婚不要社会」などといわれ、多様な結婚観によって混乱している時代だと感じています。
私自身は、結婚について聖書から教え、指し示すことができるのは、聖書を土台とした信仰を持っているクリスチャンにしかできないことであり、大切な使命として務めてきました。
結婚を願う方の切なる祈りと願いが叶えられ、一人でも多くの方が幸いな結婚へ導かれるように支援していくと同時に、この働きが続き、実を結ぶようにと願っています。
また、結婚は、個人や家族の幸せだけでなく、教会の存続や日本のキリスト教界全体の存続にも大きく関わっています。都心の大きな教会と違って、地方の小さな教会には若い人が少なかったり、結婚したくてもどうにもならないという環境の方もたくさんいるのが現状です。
リベカの働きを通して多くのカップルが誕生し、最小単位の教会である家庭が建て上げられ、教会が命にあふれて元気になっていくことがビジョンです。
主なる神は言われた。「人が独りでいるのは良くない。彼に合う助ける者を造ろう。」
《創世記2章18節≫
――貴重なお話をありがとうございました。