「ゴスペルペインター」として、聖書が伝える“ゴスペル(福音)”を独自に表現しているサナさん。前編ではこれまでの経歴について伺いましたが、後編ではゴスペルペインターとしての活動についてお話いただきました。
――この2年間、ゴスペルペインターとして活動される中で、生活やご自身の中で変化はありましたか?
初めの頃は、ゴスペル=福音を伝えたい!という強い思いがあり、聖書のみことば(メッセージ)を伝えなくては、みことばに合わせた絵を描かなくては、と気負いがありました。
あるとき、ゴスペルマジシャンとして活動されているRitoさんから紹介された、『わが故郷、天にあらず-この世で創造的に生きる-』(ポール・マーシャル)を呼んだときに、もっと自由でいいんだ、と気付かされました。
私が「もっと○○しなくては!」と思えば思うほど、作品が窮屈になってしまうんですね。大切なのは、まずは私自身が神様に生かされていることを喜びながら絵を描くこと。そして、それによって私自身が癒され、満ち足りることで、作品を見てくださった方が神様の存在を知り、愛に触れる、と思っています。
生活面では正規で教員として働いていた頃と比べると収入は低くなりましたが、それと引き換えに自由な時間や心、何よりも絵に専念する時間が与えられているので、感謝しています。
――作品の特徴や、テーマなどはありますか?
手元に置いてくださる方のお部屋の壁や、テーブルなどにも飾りやすいように、比較的小さいサイズの作品が多いですね。
テーマは「Feel relieved place.(ホッとする場所)」と、「The way it is.(ありのままの姿)」の2つのシリーズで描いています。
ご覧になった方がホッと癒されたり、心を解放できるような作品をイメージしています。
――個人的にはInstagramで紹介されている、尾びれを揺らしながら泳ぐ魚を描いた作品が印象的でした。
こちらは「The way it is.」シリーズのひとつで、肩書や役目などに縛られることなく、大きなひれで力強く、でもふわりと軽やかに“ありのままの自分”で泳ぎ出す姿をイメージして描いた作品です。
――サナさんご自身がたくさん思い悩み、苦しい経験をされてきたからこその表現ですね。
ご覧になった方や、作品を買われた方から反響はありますか?
「優しい気持ちになる」や「心が清められる」、「癒される」と言っていただくことが多いです。
描いている私自身はやはり人間なので、心の中にいやなものがたくさんありますし、些細なことでモヤモヤしたり、がっかりしたり、つまづいたりもするのですが、作品に込めた想いが届いていることはとてもありがたいですね。
――かつてのサナさんのように、自分をすり減らしながら頑張っている人はたくさんいるのではないでしょうか。
そうですね。私が大切にしているみことばにも書かれていますが、仕事などをたくさん頑張って、疲れてしまっている人に届けたいという思いで描いています。
すべて、疲れた人、重荷を負っている人は、わたしのところに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。
わたしは心優しく、へりくだっているから、あなたがたもわたしのくびきを負って、わたしから学びなさい。
そうすればたましいに安らぎが来ます。
わたしのくびきは負いやすく、わたしの荷は軽いからです。
(マタイによる福音書11:28~30)
――これからやってみたいことや、2025年の新しい展開などはありますか?
病院に作品を飾っていただくことを企画していて、入院中の患者さんや、通院される方にとって、癒しになるような作品を展示できたら……と思っています。
昨年末に、12名の作家で小児がんの研究をしている団体を支援するチャリティカレンダーを作ったのですが、絵を描くことで誰かの役に立つ働きができたらと祈っているところです。
それから、昨年に引き続き、個展やグループ展も開催する予定です。
――ゴスペルペインターとして活動を始めてから2年の間で、たくさん仲間ができたんですね。
そうですね。当初はさて何から始めよう……と思っていたのですが、Instagramで作品を見てくださった方から「グループ展に参加しませんか?」とお誘いをいただいて。そこから別の作家の方ともつながっていって、どんどん輪が広がっていきました。
自分で勝手に「ゴスペルペインター」と名乗ってはいるけれど、この活動をさせてくださっているのは神様であり、一つひとつ導いてくださっているなと日々感謝しています。
――素敵なお話をありがとうございました。
サナさんのInstagram:@anemos.0523
※個展などの情報はInstagramにて随時発信しています