営業も人生も“利他の心”で――聖書が教えてくれたリーダーのあり方/株式会社STEPUP代表・岡河小百合さん

大阪を拠点に、さまざまな企業の営業代行を手がける「株式会社STEPUP」。代表の岡河小百合さんは、わずか23歳で会社を立ち上げました。以来15年、現場に立ち続けながら“人を育てること”に力を注いできた岡河さん。そんな彼女を通じて、これまでに26人のスタッフが聖書に触れ、洗礼を受けたといいます。ビジネスの現場で、なぜこれほど多くの人が信仰に導かれたのか――。そこには、岡河さん自身の“働くこと”への考え方の変化がありました。

――まずは、ご経歴からうかがえますか。
岡河さんは、いわゆるクリスチャンホームで育たれたのでしょうか。

そうです。両親ともにクリスチャンで、子どもの頃から毎週日曜日は教会に通う習慣がありました。
17歳で洗礼を受けたのですが、クリスチャンホーム育ち“あるある”かもしれませんね。ずっと「神様はいるでしょ」と、特に疑うこともなく信じていました。

――“あるある“でいうと、思春期に部活動が忙しくなったり、友達との付き合いが増えたりして教会に行かなくなるという話もよく聞きます。

私の家の場合は、父がとても厳しくて。教会に行かないという選択肢はありませんでしたね。
それに、運動神経もあまりよくなかったので、スポーツで活躍するタイプではなかったんです(笑)。

でも、当時は“いいみことば(聖書の言葉)”をちょこちょこ噛みしめるように読んだりはしていたものの、恥ずかしながら、しっかり聖書を読むようになったのはここ5年くらいなんです。

――それは何か、大きなきっかけがあったんでしょうか?

20代で会社を立ち上げてから30代を過ぎるまでずっと、仕事ばかりしてきました。
あるとき、体調を崩して動けなくなってしまって……。その時に「もう神様を求めるしかない、もっと聖書を読もう!」と思ったんです。

ある方に「一節ずつでもいいから、読んでみたら」とすすめられたのをきっかけに、改めて新約聖書から読み始めました。
3年半ほど前に現在通っている教会に移ってきたことも、大きな転機になったと思います。その頃から、私の会社のスタッフもどんどん導かれていきました。

――ちなみに、これまでに何人くらいの方が導かれたのでしょう?

この3年で洗礼を受けたのは26人です。
退職したスタッフもいますが、中にはその後も教会に通い続けている人もいて、嬉しいですね。

――すごいですね! どうやってお声をかけたのでしょう?

たとえば、聖書は今なお世界でいちばん売れているベストセラー本で、聖書をベースにたくさんの自己啓発本が書かれていること。
私自身、10代の頃から母に何度も「読んだ方がいい」と言われていたのに、ずっとちゃんと読まずにいたことを後悔していて、もっと早く読めばよかったと思っていることなどを伝えました。

そうすると興味を持ってくれる人もいて。それで、私が通っている教会の牧師に、毎週金曜日の夜に“プチ礼拝”のような集まりを開いてもらい、聖書のメッセージを伝えてもらったんです。
その流れで教会にも誘っていって――という感じです。
だから、私ひとりで何かしたというわけではないんですよ。私は関西ならではの“おすすめおばさん”みたいな役割で(笑)。

――楽しそうです(笑)。ちなみに、営業のお仕事に聖書のメッセージが役立つものですか?

もちろんです。
私がよく伝えるのは、「自分はゼロ、相手100」ということです。営業の仕事は、何を売るにしても“100%お客さまのことを考える”という姿勢でいなければ、うまくいきません。
業績が伸び悩んでいるスタッフは、やっぱりお客さまのことよりも自分のこと――「今日売れなかったらどうしよう」「このままだとヤバい…」と焦っていたり、不安を抱えたりしているケースが多いんです。
でも、本来大切なのは、売れる・売れないにかかわらず、お客さまが何を求めているのか、自分が売ろうとしているものはその方にとって本当に必要なのかを、丁寧に聞き取り、見極めること。
だから私はよく、聖書でも語られる“利他の精神”が必要なんだよ」と話しています。
聖書には『だれかがあなたがたを受け入れず、あなたがたのことばに耳を傾けないなら、その家や町を出て行くときに足のちりを払い落としなさい。(マタイの福音書 10章14節)』と書かれています。
タイミングもありますし、本当に必要としている人には、きっと届くものだと思っているんです。

――自分に自信がない方だと、「自分に能力がないから売れないんだ」と思ってしまいそうです。

まさにその通りです。思うようにいかなかったときに、「自分はなんでダメなんだろう」と自己肯定感が下がってしまう人が多いと思いますが、決してそうではなくて。
むしろ、自分が売りたいものを「絶対に必要としてくれる人がいる」、そして「求めている人と神様が出会わせてくれる」。そんなマインドで前に進むことができるよう、日々訓練され続けているといえばいいでしょうか。

――わかるような気がします。うまくいかなかったとき、自分を責めるのはいちばん簡単な方法なんですよね。
社員の方とお話をするときに心がけていることはありますか?

意識的に何か心がけているということはないのですが、不思議なことに、スタッフと1対1で面談をしているときに、自然と聖書や神様の話をする流れになるんです。
いつも特に何か言おうと準備をしているわけではないので、まさに神業というか(笑)。

――日々の小さな悩みひとつをとっても、聖書の中に答えがあり、それだけ人の暮らしに密接に関わっていると言えるかもしれませんね。

本当に、そうだと思います。

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KASAI MINORI

KASAI MINORI

主にカレーを食べています。

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