沖縄を拠点にアパレルブランド「I am ~Εγώ είμι~(アイアム)」を展開するユウヤさんとモモコさん。クリスチャンにも、そうでない人にも神様の愛が伝わるように――そんな想いを込めて、すべての商品には聖書の言葉がデザインされています。今回は、ブランドを立ち上げるきっかけや、ブランドや活動を通して伝えたいメッセージについて伺いました。
――早速ですが、ブランド名の由来について教えてください。
ユウヤさん(以下、敬称略):新約聖書、マタイの福音書に由来しています。
イエスはすぐに彼らに話しかけ、「しっかりしなさい。わたしだ。恐れることはない」と言われた。
マタイの福音書 14章27節
これは、イエス様が湖の上を歩いて弟子たちの船のところまで行く場面です。
このとき、弟子たちは湖の上を歩くイエス様を幽霊と見間違えて怯えるのですが、イエス様は「しっかりしなさい。わたしだ」と伝えて、力強く励ますのです。
こんな風に、イエス様はいつもそばにいて、「私が共にいる」と語っています。
いま、様々な問題や痛みを抱え、孤独を感じながら生きる人たちにそのことを知ってほしい、目には見えないけれどイエス様は生きていて、いつもあなたのそばにいることを知ってほしい。
身に着けるものをツールとして、そんな神様のメッセージを伝えていきたいという想いを込めて名付けました。
――素敵なお名前ですね。
お2人はもともとアパレル関係のお仕事をしていたり、ブランドを立ち上げたいと思っていたのでしょうか?
モモコさん(以下、敬称略):アパレル関係の仕事をしていたこともありましたし、神様のメッセージを伝えていきたいという思いは強く持っていましたが、自分のブランドを持つことはまったく考えていませんでした。
きっかけになったのは、クリスチャンアパレル「Gloood(グルード)」を運営する知人のカワタさんから、「女性向けのクリスチャンアパレルブランドを始めようと思っているんだけれど、やってみないか」とお声がけいただいたことです。
その日からたくさん祈り、「神様が扉を開いてくださるなら、進んでみよう」と12月23日から本格始動しました。
――立ち上げから1年経ちましたが、振り返ってみていかがですか?
モモコ:夫婦で活動できていることにとても感謝しています。
私が悩んだり、迷ったときには彼がいろんなアイデアを出してくれてサポートしてくれたり、逆に、彼が難しさを感じているときに私が補ったり……。これまで隠れていたお互いの“たまもの”や得意分野を引き出し合ったり、見つけ合ったりすることができた1年だったなぁと思います。
今は「もっとこんな風にしたいよね」「あんなこともやってみたいね」と2人でワクワクしながら色々なものを作っていることが本当に楽しくて。
私1人で進めていたら短期間で終わってしまったかもしれません。
ユウヤ:僕たちにはもともと1人でも多くの人に神様のメッセージや福音を伝えたいという強い思いがあり、同じヴィジョンを持つ彼女だからこそ結婚したいと思いました。だから、アパレルブランドを通して、一緒に神様のために働くことができているのは、本当に喜びですね。
――ブランドの周知など、課題に感じたことは?
ユウヤ:確かに、自分たちの力だけで多くの人に届けることは難しいと感じることもありました。
でも、コンセプトにも掲げているように、神様が僕らに「恐れるな」と言ってくださっている。
まず、このプロジェクトに携われていることに喜び、感謝しながら、小さなことから一つひとつ進めてきたという感じです。商品画像の撮影をお願いしているカメラマンやモデル、商品を手に取ってくださるお客様など、徐々に新しい繋がりも広がっていて、色々な人の助けを借りながら少しずつ前に進んでいます。
――活動をされる中でお2人が大切にしていることはありますか?
モモコ:繰り返しになりますが、やはり私たちの土台は“福音を伝える”こと。デザインには必ず聖書の言葉を入れたり、Instagramでブランドについて発信するときも、読んでくださる方が希望を感じたり、教会やイエス・キリストに興味を持ってもらえるよう、言葉を選びながら投稿しています。
2023年からは、その一環として特集「MARTUS(マルトゥス)」の発信もスタートしました。
「MARTUS」では、身近なクリスチャンの方に“イエス様のことを証しする証人”として、祈りやワーシップソングなど「あなたがイエス様を感じるオススメのもの」を紹介してもらっています。
ノンクリスチャンの方にキリスト教について知ってもらいたいという思いももちろんありますが、クリスチャンがなぜ信仰を持っているのか、信仰を持ちながらどんな風に歩んでいるのかなども伝えられたらと思っています。
――未来に向けてワクワクしているというお話がありましたが、これからやってみたいことはありますか?
モモコ:これまではオンラインのみで販売していたのですが、近い将来、実店舗を構えることができたらと願っています。
ユウヤ:僕は以前カフェで働いていたのですが、昨年からバリスタの友人と、店舗を持たないコーヒーユニット「HOPE COFFEE」としてイベントなどに出店してきました。
実店舗では「I am ~Εγώ είμι~」の商品を販売するだけでなく、「HOPE COFFEE」のコーヒーが楽しめるカフェやギャラリーとしても運営できたらと思っているんです。
モモコ:一番の目的は、ひとりでも多くの人に福音を伝えることですが、クリスチャンの方にとっても互いに励まし合える場所になることが理想です。
また、沖縄には海外からもたくさんの方がいらっしゃるので、色々な国の方と出会いたいですね。
――世界中で愛されているコーヒーがツールになるんですね。
カフェだったら、クリスチャンがノンクリスチャンの友人を誘ったり、気軽に利用できる点もメリットです。
モモコ:本当にそうですね。カフェでは食べ物も提供できたらと考えています。
おいしいものを食べているときって、心がオープンになりますよね。
私自身も、キリスト教やクリスチャンに対して拒否反応を示している人が、一緒に食事をしているときは心を開いて、話を聞いてくれたという経験を何度もしました。
クリスチャンのお友達と来てくださったら、ブランドの商品や接客を通じて「クリスチャンも、あなたと同じ人間なんだよ」と伝えられたらとも思いますし、辛いことがあったとき、休みたいときに気軽に足を運んで、癒されるような場所が作れたらと、祈りながら準備を進めているところです。
――お2人から宣教に対する深い思いを感じるのですが、子どもの頃から教会に通ったり、信仰を持っていたのでしょうか?
モモコ:私はクリスチャンホームで育ったので、子どもの頃からずっと毎週日曜日は教会に通っています。
ユウヤ:僕は2020年の夏に彼女を通して初めてイエス・キリストや福音に触れ、12月にバプテスマ(洗礼)を受けました。
――そうだったんですね! どんな経緯があったのでしょう。
モモコ:もともと同じアパレルブランドのお店で働いていて、彼は尊敬する先輩でした。職場の人たちはみんな仲が良かったのですが、当時はお互いに別の方とお付き合いをしていて、こんな風に関係が発展するなんて考えてもいなかったんですよ。
ちょうど、同じ職場の人たちの救いのために祈っていた(※)頃に、彼から「みんなでキャンプするから遊びにおいでよ」と誘ってもらって。
キャンプに参加したら、彼が「自分は愛に飢え乾いているんだ」というようなことを言っていたんですね。
※ 救いのために祈る…イエス・キリストを必要とする人のためだったり、多くの人に聖書のメッセージが届くように祈ること
モモコ:キャンプの場で福音を伝えることはしなかったのですが、どうしても彼にイエス・キリストを知ってほしいと、神様の想いを伝えたい後日私からドライブに誘ってみたら、彼がワーシップソングを聴いていたことを知って。これはチャンスだと福音を伝えた瞬間に、「これだ」と表情が変わったのがわかりました。
それから1か月後に初めて一緒に礼拝に参加して以来、彼はひとりでも毎週礼拝に参加するようになって…。
ユウヤ:その頃の僕は、本当の愛を求めていた時期だったんです。
どうしてこの世界には、貧困や戦争など、様々な問題があるんだろう。いま苦しんでいる誰かのために行動できるような、愛で溢れる人になりたいと考えていました。
それが、福音に触れ、教会でメッセージを聞いたり、聖書を読んだりする中で、実は自分自身が愛を欲しがっていたことに気が付いたんです。
――ユウヤさん自身の体験が、「伝えたい」という想いに繋がっているんですね。
ユウヤ:クリスチャンの方も「伝えたい」対象です。
伝える人がいなければ、福音は、神様のメッセージは届けられません。
僕自身がクリスチャンであるモモコを通じてイエス・キリストを知ったからこそ、クリスチャンの方に向けて、「福音を伝えることに恐れる必要はない」と発信していきたいです。
それでは、信じたことのない方を、どうして呼び求めることができるでしょう。
聞いたことのない方を、どうして信じることができるでしょう。
宣べ伝える人がいなくて、どうして聞くことができるでしょう。ローマの信徒への手紙10:14
――お話を聞きながら、クリスチャンであることを公表しづらいと感じている人たちが、「I am ~Εγώ είμι~」のアイテムを身に着けることで、勇気がもらえるのではと思いました。
デザインもユニセックスで、年齢や性別を問わず「そのTシャツいいね、どこのブランド?」とさりげない会話が生まれるきっかけにもなりそうです。
モモコ:そうであったらいいなと期待しています。
私たち自身には何もできないけれど、イエス・キリストが共に歩いてくださっていることによって何でもできる。
宣教することで、ときには拒絶されて落ち込んだり、苦しんだりすることもたくさんあるけれど、それはきっと、誰もが経験していること。
だからこそ、互いに励まし合いながら、ひとりでも多くの人へ福音を伝えるために前進していけたらと思います。
――聖書にも何度も「励まし合いなさい」と書かれていますが、今日の時間を通して私自身が励まされたように感じます。
素敵なお話をありがとうございました。
「I am ~Εγώ είμι~」のInstagram:@i_am__clothes2022