お菓子を通してイエス・キリストのメッセージを伝えたい。/「アトリエ・アステール」Reiさん(後編)

京都を拠点に、店舗を持たない焼き菓子のお店&お菓子教室を展開する「アトリエ・アステール」。オーナーのReiさんは、職場でのクリスチャンの同僚との出会いをきっかけに、教会に通うようになったといいます。後編では、洗礼を受けてからの生活について伺います。

――洗礼を受ける前と後では、日々の暮らしや考え方に変化はありましたか?

以前はもっと、適当に生きていたような気がします。仕事をすることも、ただお金を稼ぐための手段という感覚でした。いまは「仕事をして得たこのお金で、何をしたら神様が喜んでくれるかな」と考えるようになりましたね。

さらに結婚、出産してからは自分の子どもだけでなく、地域の子どもたちも教会とつながるきっかけを作れないかと思うようにもなって。はじめに通っていた教会では、月に1度、放課後の時間帯に教会を解放して、子どもたちと宿題をしたり、おやつを食べたり、牧師と一緒に過ごす場所を設けていました。

今は引越し、以前とは別の教会に通っているのですが、こちらでも近所の子どもが集まったり、子育てに悩んでいるお母さんの話を聞いたりする場所が作れたらいいなと思っています。

――いいですね。”ワンオペ育児”でいっぱいいっぱいになっていたり、孤独を感じているママやパパは多いと思います。

そうですよね。中には、ママ友との関係が難しくて、しんどさを感じている人もいると聞きます。
そんなときに、ただ愚痴をしゃべったり、聞いたりしてもらうだけでラクになることって、あると思うんです。教会でなければ出会わない人たちと知り合ったり、話したりすることも、気分転換になるかもしれません。そんな、「第三の居場所」を作りたいですね。

――素敵ですね。
ところで、ある程度年齢を重ねてから洗礼を受けた人の中には、自分が「クリスチャンである」ことを公表しづらいという声もよく聞きますが、Reiさんの場合はいかがでしたか?

私の場合は、両親はもちろん、親戚にも、会社の同僚にも伝えています。どうやって伝えたかはちょっと忘れてしまったんですが。両親は、根拠はないものの、直感的に良いと感じてくれているみたいですね。親戚からは何か言われたような記憶がありますが、私が洗礼を受けたことで幸せそうにしているから、「それで良し」と思われたんじゃないでしょうか(笑)。同僚からも、特に否定や拒絶されたことはなくて、「へー、そうなんや」という反応です。

――実際は、自然な流れで「あーそうなんだ」と受け入れられるケースも多いですよね。
いま、思い描いている夢はありますか?

やっぱり、実店舗を持ちたいですね。
手づくりのお菓子を販売するためには、「菓子製造許可」を取得している施設で作る必要があり、お菓子の製造はレンタルキッチンで行っています。現状、自宅のキッチンは製造設備などの基準に適合しないため、いずれはリフォームなど製造許可が取得できるような環境を整えたいですね。

もう一つ、クリスマスやイースターなど、イベントにまつわるお菓子を通して、キリスト教や教会に興味を持ってほしいという夢もあります。昨年、アイシングクッキーのクリスマスレッスンを開催したときに、イエス・キリストの生誕を待ちわびるアドベントのお話なども伝えたところ、皆さん抵抗感なく受け入れてくださいました。例えばイースターだったら、なぜウサギや卵がモチーフになっているのかなど、豆知識的なところから興味を持ってもらえたら嬉しいですね。
地域の子どもたちに対する想いも変わらず、親子で参加できるアイシングクッキーの教室も開催しています。私が通っている教会では、月に2回「おはなし会」が開かれているので、そちらでも手軽にアイシングクッキーを体験してもらえるような企画ができないか考えているところです。

――お菓子を作ったり、教室を開催されたりする上で、大切にしていることはありますか?

お菓子づくりの材料を吟味し、味や食感を大切にすること。そして、頑張りすぎないこと。(笑)
私は、アレルギーの方や、グルテンフリーを意識されているに方もおいしく食べてもらいたいという思いから、米粉を使ったお菓子も作るようになりました。ただ、レシピには正解がないので、こだわりすぎると“沼“にはまり込んで抜け出せなくなります。(笑)
また、チョコレートが苦手な人や、甘いものが大好きな人、グルテンは避けたい人……色々な嗜好を持つ人がいる中で、自分自身がどうしても「小麦粉を使って、ほろ苦いガトーショコラを作りたい」というときもあります。そんなときは、その欲望に従う。

シフォンケーキは米粉で作ることが多いという。

――「こうでなくてはいけない」とストイックになりすぎてもよくないんですね。

小麦粉にも米粉にも、それぞれ特徴や持ち味があります。また、お菓子に使用する油脂もバターをはじめさまざまです。
どんなお菓子を作るときも、目指しているのはやっぱり「おいしい」と思ってもらえるお菓子を作ることですね。

「アステール」という名前は、マタイによる福音書2章から名づけました。
これからも、食べてくださる方が笑顔になれるようなお菓子が作れたらと思っています。

彼らはその星を見て、非常な喜びにあふれた。(マタイによる福音書2:10)
※東方の博士たちが、星によってイエス・キリストの生誕を知り、喜んでいる場面

――素敵なお話を、ありがとうございました。

アトリエ・アステール(Instagram):@rei.x.sweets


KASAI MINORI

KASAI MINORI

主にカレーを食べています。

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