四国から眺める伊予灘の美しさ。子どもの頃から溶けるように潜った瀬戸内の「青」。
身に染みて離れない「瀬戸の海」と「伊予の空」。
今回は、それを砥部焼(とべやき)で表現された、「ヨシュア工房」の竹西辰人さんにお話をお伺いしました。
■自分の力でなんとかしようとしていた。
--作品を拝見して、息をのんでしまいました。深いコバルトブルーで、うっとりします。この色を工房の看板商品にされたいきさつを教えていただけますか?
砥部には100軒弱の窯元があり、
そのほとんどが個人運営の小さな窯です。
両親から圭仙窯を受け継いだ際、ヨシュア工房と改名しました。
引き継いでからは、先代から作っていた染付けの器を作っていました。景気の後退で仕事は減る一方で、長く苦しい時期が続きました。
その頃は、陶芸教室や、地元のアート系専門学校で講師をしたりと、外の仕事が備えられていました。
祈りの中で導きを感じ、新シリーズに取り組みました。
数ヶ月かけて頭を捻って新シリーズを作り発売しましたが、まったく手応えがありませんでした。
聖書を読んでいると、箴言から「全て慌てるものは欠損を招くだけだ」という言葉が目に飛び込んできました。
「自分の力でやろうとしていた」ということに気がつかされ深く悔い改めたのです。
委ね切ることを決心し、開け渡すと、ちょっと面白い事が起こり始めました。
実は自分は、「予州(よしゅう)」という名前で、工房とは別に、個人の作家活動をしています。
その作家作品を、道後温泉にある旅館の社長さんが気に入って下さいました。
旅館の七部屋あるー部屋一部屋に、七人の砥部焼の窯元をあてがって、装飾も食器も担当するという企画を立てられたのです。自分も一部屋、担当せていただきました。
装飾も食器も含め、そのお部屋に10種類以上納品したのですが、宿泊されたお客様から、今のこの「青」の原点である器にだけ、問い合わせが来るようになったのです。
「この青い器は、どこに行けば手に入りますか」と。
そんなことが、1ヶ月ほどの間に次々と続くのです。
「主よ。これでしょうか⁉︎」
そう思いました。
さらに地元の砥部焼祭りに何百点も出品したのですが、なんとそのシリーズだけが初日の午前中に完売したのです。
「これだ! 主に委ねていこう!」
そこからその青を使って、デザインのバリエーションを増やしていきました。
ですので、自分が作ったものという感覚ではなく、主が与えてくれたものなんだという思いなのです。
もちろんこの色を調合して出しているのは自分なんですが。
それからどんどん仕事の依頼が増え続け、
TBSやNetflixのドラマで採用されたりと反響は大きく、現在も注文に全く追いつかない状態です。
本当に、主のなさることに驚きを隠せません。
--それがヨシュア工房の看板ブランド「ヨシュア・ブルー」。
この色には、自分が少年時代から身に染みているものが込められています。
砥部には海はありませんが、夏によく自転車で海まで向かい、素潜りをしていました。
瀬戸内の海は、緑がかった深い青。
海中に差し込む光のグラデーションを表現しています。
全て神様が創られたもの。
今でも水族館などに出かけては、神様が創造された魚や自然を眺める事が楽しくて仕方ありません。
ですので好きな聖書のみ言葉も
「初めに、神が天と地を創造した」創世記1:1
なのです。
■神様の計画があるときに150%備えられた流れになる
--自分の力で何とかしようとしていたところを、お仕事を通して変えられたと言うことですね。竹西さんが信仰をもったいきさつは、どういった流れだったのでしょうか。
自分がクリスチャンになったのは、両親が信仰に導かれ、当時まだ小学生でしたので連れられて一緒に洗礼を受けたというくらいの安易ないきさつです。
そんなものですから、中学高校はサンデークリスチャンでした。
結婚前くらいの年齢だったでしょうか、かなり辛い経験をしたのです。
その時に聖書を読んで祈っていると
「主を畏れることは、知恵の初めである」という箴言の言葉が生きた言葉として目に飛び込んできました。
深く悔い改め、嬉しくて何日も泣いてた時が、本当の意味で主との出会いだったと思います。
エレミヤ書からも
主は言われる、わたしがあなたがたに対していだいている計画はわたしが知っている。それは災を与えようというのではなく、平安を与えようとするものであり、あなたがたに将来を与え、希望を与えようとするものである。」エレミヤ29:11
と言う箇所を与えられ、
「神様が計画を持っておられるのであれば、それに従おう」と、委ね切ることを覚えました。
導きだと思いこんで、思い違いでスベったり、何度も失敗しながらですが(笑)
--砕かれてボロボロになってはじめて開いてくださる・・・。時々神様はなんと意地悪なんだろう(笑)て思わされますが、通らなければいけないところだったのですね。
本当に(笑)
自分の計画を優先しがちですが、それが「神様の計画」だったら、自分の願いを遥かに超えて150%備えてくださる。
自分は神様からこの窯元を任された「店長」と言う気持ちでやっています。
与えられた賜物を使って、作品を作ったり工房を運営していく。
細かな部分は自分で決めますが、大きな動きは時間をかけて導きを祈り求めます。
革新的な動きをするヨシュアのような存在であろうと「ヨシュア工房」と名付けました。
ヨシュアブルーは、その名の現れと確信しています。
--愛媛の西部「予州松山」からとった作家名「予州」。
そして伊予灘の美しさを表現した地元の陶磁器・砥部焼「ヨシュア・ブルー」。
こんな一貫したストーリーになっているブランディングってあるでしょうか!
これも意図的ではないのです。神様が導いてくださった事を振り返れば、なんですよ。本当に不思議ですよね。神様のご計画にそったものだと明らかに流れが変わる。
--最高のお証しですね! 活動の恵みとしては、その事を証しできるだけでもすばらしいです。
もちろん、お店に訪れた人にも「ヨシュア」と「予州」を語り、伝道できる事は恵みだと思っております。
それで実は、もう一つ・・・。
この大鉢、ローマ法王の元に届く物なのです。
--えええ?! バチカンに?!
愛媛の四国中央市は盆栽で有名な土地で、ヨーロッパでも大変人気があります。
ローマ法王に盆栽を納品しておられる、農業生産法人「赤石の泉」代表の森高氏より、現在のものは少し凡庸な鉢だからということで、折角なら地元の砥部焼を使いたいと、お声がけいただきました。
砥部焼の窯元は、100件くらいあるのですが、愛媛で作家として頑張って活動していること、クリスチャンであると言うこともあって選んでいただいたのかな。
大変名誉な事です。
誰もが経験できるような出来事ではない。
それは、
「自分の計画」ではなく、「神様の計画」に応えた時、150%の勢いで備えられていく、特別な実例。
ですが、きっと誰もが、主のご計画を優先してアンテナを張っていく時、「幸いと平安を与えるご計画」に気がつけるのだと感じた、筆者も居住い正されるインタビューでした。
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